2014年7月6日日曜日

ミュンヘン




この作品について「『プライベート・ライアン』の冒頭20分が最後まで続く映画」って解説を目にしたんですが『ブラックホーク・ダウン』で一言一句変わらぬ解説を目にしたことがある気がします。
もっとも『プライベート・ライアン』の監督と『ミュンヘン』の監督は同じスピルバーグなのでむしろその名を冠せられるのはこっちが正しいのでしょう。
『ブラックホーク・ダウン』は『プライベート・ライアン』を見てテンション上がったリドリー・スコットが撮ったって説を聞いたんですけど、『ミュンヘン』の主演は『ブラックホーク・ダウン』のほうでそこそこ重要な役だったエリック・バナなので
 『プライベート・ライアン』(1998)→『ブラックホーク・ダウン』(2001)→『ミュンヘン』(2005) 
の三作品の間で二人の巨匠による何かしら高度なキャッチボールが行われている可能性もあるかもしれません。気のせいかもしれません。

『ミュンヘン』はミュンヘンオリンピック事件の話……ではなくミュンヘンオリンピック事件の後、事件に関与したと思われる人々をモサドの暗殺部隊が暗殺していく話です。舞台もミュンヘンではなくパリとかその辺です(一応プロローグでミュンヘンオリンピック事件の話もやる)。

個人的にミュンヘンオリンピック事件について知ったのがけっこう最近で、生まれるよりかなり前のことではあるにしてもこれほどまでの大事件について知らなかったということを恥じてこの作品を手に取ったんですが、学校で同年代の人たちに聞いても皆一様にこの事件のことを知らなかったため、なんかやっぱりタブー視されてるところがあるのかなと思ったりしました。

 

色々と議論を呼んだという政治的な話とか史実との云々はとりあえず置いて作品についてだけ。



164分とけっこう長く、内容も連綿と続く暗殺と主人公たちの苦悩なのであんまり楽しい感じではないのですが全く苦にならずに観られて、スピルバーグ作品を観たのは初めてだったのですがさすが巨匠は違うなと思いました。でももっとE.Tとかを先に観たほうが良かったような気もしました。

息詰まるような暗殺作戦、主人公のお料理タイム、暗殺作戦、主人公とマフィア的な何かのお料理タイム、暗殺作戦、みたいなバランスの良さが素晴らしいです。
後半になって仲間たちが付け狙われていくあたりは割とすごい勢いでメンバーが減って行ってびっくりしました。 この物語は主人公たちが全ての計画を果たしきるところでは終わらないし、始まりもまた遥か昔から続く対立の一部にすぎないし、この物語が終わった後でも報復の連鎖は続いていく。その流れから身を引いて外側で平和に生きようとするアヴナーは、主人公とかヒーローというよりも大河ものの語り手担当みたいなポジションに近いような気がします。まあ実際原作はアヴナーさんのポジションにあった人が事実として書いた本なわけで当然と言えば当然なのですが。

アヴナーはバルボッサみたいな上司に「お前は街の中で目立たないから選んだ」的なことを言われてましたが『トロイ』の直後くらいなこともあってかエリック・バナはギリシア神話みたいな身体をしています。服越しでも胸筋がすごいし身長もあるので街中で目立たないとか絶対嘘だと思います。まあ街のシーンで主人公がどこにいるのか完全に分からなくなっても困るんですけど。
このガタイで趣味がお料理って設定はどうなんだと思ったらちゃんとそこもきっちり拾われていてすごいなと。

あと最後のベッドシーンは頭おかしいと思う










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