2016年6月1日水曜日

ケリー・ザ・ギャング

ケリー・ザ・ギャングのゆかいな仲間たちを紹介するぜ!
人妻を寝取ってる間におうちが大変なことに!リーダー、ネッド・ケリー!
女装して幼馴染を殺す!人妻寝取るマン!
お兄ちゃんについて行ってたら死んだ!ケリー弟!
何かいつのまにか家にいた人!
以上だ!


人妻寝取るマンが二人いるせいで知人に「なんでお前の勧める映画は人妻寝取ってばっかりなんだ」って言われたけど『トロイ』はしょうがないだろトロイは。

原題は「Ned Kelly」。実在したブッシュレンジャー、ネッド・ケリーとたのしいなかまたちを主人公にしたオーストラリア映画です。
ネッド・ケリーはオーストラリアでは超有名人らしいので、おそらくその人生についてある程度知っていること前提で見る映画だと思います。こう、二時間スペシャル坂本竜馬的な……
物語の始まりから終わりまで、ネッドさん15歳から25歳までの十年間を全てヒース・レジャー一人で賄うというあたりも二時間スペシャル時代劇感あります。
一応原作が存在して、「Our Sunshine」という本らしいのですが、日本語訳がないためこれがどの程度忠実な伝記なのかはちょっと分かりません。確実に史実ではなさそうな部分が幾らかあるんですが、この本で盛ってある要素なのか映画化にあたって盛ってあるのかも不明です。

例えば息を吸うように人妻寝取るあたりとか、ロマンスの展開としてはド王道なんで仕方ないけど終盤一切絡まないので創作かなーと思ったりしてます。詳しくないので史実だったらごめんなさい。
あと幼馴染絡みの色々とかはけっこう創作入ってるんじゃないかなって気がしました。あの辺はすごい綺麗につながってて好きです。

舞台は1870~1880年で、衣装みると主人公たちがジーンズ穿いてるシーンがあるのであー近代だなーって感じがするんですが基本移動手段馬だし最後は甲冑着て戦うしこれもしかして中世騎士物語なのでは?って感じになりますね。実際筋立てとしてはそんな感じのところも多いんですけど。

この手のアウトローってアメリカのビリー・ザ・キッドなんかが有名ですが、あっちは改めて読むと割とただのクズなのに対してこっちは比較的ヒーローやってるんでけっこう性質が違いますね。日本でもケリーさんもうちょい有名になってもいいんじゃないかなって思いながら観ました。

ちょっと変わった部分として、死の描き方。この作品には三回「死」を描いたシーンがあります。その三つともがとても印象的で、すごく辛いシーンになっています。
全てのきっかけになる警察殺し、唯一の警察以外へ行った殺人である友人殺し、そして最後の戦い。なすすべなく虐殺されていく一般市民。おそらく親友を射殺した時の影響もあり、積み重なる一般市民の死体を見て精神に異常を来たして撃ち抜かれるジョー、銃弾からは逃れたものの、炎に捲かれて逃げられず、泣きながら自害する弟たち。これらのシーンもなんかもっと英雄的に描けたはずだけど、そうはしない。序盤の敵対していた相手が死ぬシーンさえ、というかむしろそこが一番かと思うくらい、とても見ていて辛い仕上がりになってるんですよね。これはこの作品の重要な特徴だと思います。
流れるように行われる強盗など通常シーンの軽やかさと、死を描いたシーンの異常な重さのギャップ。少し不思議な感覚のある作品ですが、ここがかっちりとハマれば、きっとこの作品のことが好きになるでしょう。

ところでこの映画バルボッサ的な警視総監とターナーくん的なジョーさんが出てるんですが、この映画の撮影時に既にバルボッサに決まっていた警視総監が現場に台本持ち込んでてそこのつながりでジョーさんがターナーくんになったらしいですよ。こっちの映画だとアウトロー側と体制側というかが逆な感じで微妙に面白い。

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