2014年12月17日水曜日

ブレス・ザ・チャイルド

時期的にクリスマスに丁度よさそうな作品を。


 

冒頭はクリスマス、ベツレヘムの星が出た夜、主人公の女性のもとに音信不通だった妹が生まれたばかりの赤ん坊を連れて現れる。父親も分からないその子供を残して薬中の妹は即座に失踪、 子供に恵まれずに離婚した過去のある主人公はその子を我が子のように大事に育てる
それから数年、成長した少女と主人公のもとに妹が「夫」を連れて現れ、強引に少女を連れ去る。実は少女はなんか不思議な力を持った特別な子供で、悪魔崇拝カルトの首領である男が彼女に目をつけ、自分の配下にするか殺すかしようとしていた。
警察に駆け込んだ主人公の話を聞いてその誘拐がただの親権争いでなく、ここ最近同じ日に生まれた子供を次々に殺している連続誘拐殺人と同じ犯人ではないかと考えたFBI捜査官(元神父)は主人公に協力して少女を救い出そうとがんばる


みたいなお話で、内容は非常に宗教臭いです。
あらすじを読んでカルト宗教による少女誘拐!連続殺人!FBIの捜査!みたいなサスペンスを期待してたんですけど、なんかキリストっぽい生まれ方をした少女を中心にしてヘロデ王っぽいことが起こりつつ神様的なアレと悪魔的なアレの奇跡合戦みたいなのが始まって、何か俗っぽいものを期待してすいませんでしたって気分になりました。

この映画の制作はアイコンプロダクションズというところです。
アイコンっていうのはキリスト教の正教会をメインに使われる宗教画、イコンの英語読みであり、マークはイコンの目玉部分のアップです。
そして名前の通り 、全体的にキリスト教分の高い作品を作っているようです。有名どころだとキリストが十字架にかけられるまでを延々と描いた『パッション』とか。
その時点で察するべきと言えば察するべきでした。

サスペンスやミステリーとしては成り立たせる気がないような脚本や、さも重要そうに登場しておいうてその後特に何の役にも立たないサブキャラクターたちなど微妙ポイントが多い作品なのですが、一番の問題は悪魔と神様の表現です。
2000年公開の映画なのでまあ2000年の安い映画に出てくるくらいのしょぼいCGで悪魔的な何かが表現され、同様にしょぼい光で神様的な何かが表現されます。ギャグとしてもつらい絵面なのですが、それを真面目にやられるのでこちらはどういう反応をしていいのか分かりません。
原作は小説らしいので、この辺りのことは原作の方ではまともな表現の可能性は高いです。
しかしこのお話の中では何回か奇跡が起こるのですが、クライマックスだけでも奇跡オチって納得いかないことが多いのに作中で割と奇跡セールを行っているせいでそんな気軽に奇跡起こしていいの……?気軽に奇跡起こせるならもう最初から神様的なものがなんとかしてくれよ……という感情がどうしても湧いてきます。みんなに平等に奇跡が起こるならともかく主人公は助かるのに協力者の脇役はわりと無残に死んだりするのがどうにも納得いきません。
悪魔的なものとか神様的なものとかめっちゃ登場して奇跡も起きたけどそんなに腑に落ちない話でもなかったコンスタンティンってもしかしてかなり出来のいい映画だったのではないかと錯覚しかけるほどでした。

とはいえ、これはキリスト教文化になじみのない日本人の感想。感覚的に理解できていない部分も多いだろうし、キリスト教圏的にはこれでいいのかもしれない。なんだかんだ欧米はキリスト教人口多くてキリスト教に対する批判の入った作品のレビュー荒れたりするし、これは本国だと高評価なのかもしれない……
と思ってRotten Tomatoes見たら3%という数字を誇っていたのでやっぱり駄目なものは駄目でした。

何でこんな映画を観てしまったかというとひとえにdビデオストアで12月末までの配信だったからであり、内容はアレだったけど幼女がとてもかわいかったので個人的にはそれなりに満足しています。幼女がかわいければ何でも良い方、クリスマスが暇なのでクソ映画でも見ようかと思っている方には自信を持ってお勧めできる一本だと思います。いいクリスマス映画は世の中に沢山ありますが、ここまで微妙な気分になれるのはもはや一つのセールスポイントで誇っていいと思われます。あそこのサイトなんでこんなもの配信してるんだろう。